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会長挨拶

吉田 薫  2022年9月からの2年間、一般社団法人日本植物バイオテクノロジー学会の会長をつとめることになりました東京大学の吉田薫です。私にとりまして本学会は、30年以上もの間、大会での発表、学会誌への論文掲載、そして度々学会運営にも参加させていただいてきた非常に思い入れの強い学会です。その学会で、会長を務めさせていただけるということに改めて身が引き締まる思いです。微力ながら、本学会のために精一杯つとめていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本学会においては2008年頃から会員数の減少が続いていました。また、大学や研究所でも、厳しい予算の削減などが続いており、植物バイオテクノロジーの学問の基盤が揺らいでいます。そのような背景の下で、山川会長(2018〜2020年)のご英断により、20年以上の歴史を持つ「日本植物細胞分子生物学会」という名称を2020年7月「日本植物バイオテクノロジー学会」に改称しました。それと同時に、学会ホームページも時代に合わせて刷新しました。さらに、逼迫していた学会の財政基盤を立て直すため、学会誌Plant Biotechnologyの電子出版化も実現しました。Plant Biotechnology誌は、歴代の編集委員長を中心とした執行部のご努力の結果、PubMedへの登録が2019年に実現しています。続く小泉前会長の時代には、学会創設40周年記念事業を進めるかたわら、さらなる改革に取り組みました。学会誌については、クリエイティブコモンズ(CC)ライセンスを取得し、CC-BYの条件に従った二次利用を認めるオープンアクセス化を進めるとともに、グラフィカルアブストラクトやEditorial pageの導入に取り組みました。学会財政のさらなる健全化に向けては、一般会員会費や論文掲載料の改定に踏み切りました。さらに、本学会が魅力ある学会であることを広くアピールするために、公式ツイッター、YouTubeチャンネル、大会でのプレス発表を開始し、産学官協力セミナーシリーズをスタートしました。会員サービスの向上に向けては、会費クレジットカード決済の開始、学生会員会費の値下げ、学生優秀発表賞の試行を進め、年4回メールで会員に届けられる会報の充実をはかりました。
 以上のように、この数年間だけでも、多岐にわたる様々な取り組みが進められてきました。このような大きな変革の流れを止めることなく、着実に前に進めることが私の任務であると認識しております。本学会は、植物バイオテクノロジーの基礎研究から応用、実用化までを見据えた研究の発展を目指して、理学、農学、薬学、工学など多方面の分野における産学官の交流と協力を図ることを目的としています。気候変動、COVID-19のパンデミック、ウクライナ侵攻など世界規模の危機が日常となる中、持続可能な社会を築くことは我々科学者全員の喫緊の課題です。これは、個々の研究者の研究だけで突破できる課題ではなく、分野融合を伴う多くの研究者間の協力が不可欠です。また、研究と産業界との橋渡しも、ますます重要になってきています。分野融合や産学官の連携は、先に述べましたように、本学会の大きな使命ですので、今期はその特徴を活かすための広報活動のあり方、大会シンポジウムのあり方、産業界との結びつきを強めるための新たな取り組みを検討していきたいと考えています。また、学会誌Plant Biotechnologyは、学会の顔として、会員の発表の場として大変重要です。会員から要望が挙がっているIF(インパクトファクター)の向上とともに、梅田編集委員長からの提案で、より投稿しやすい環境づくりにも取り組んでいきたいと思います。
 本学会では、編集や広報だけでなく、産学官連携委員会、国際化委員会、男女共同参画・キャリア支援委員会を組織して多くの活動を行なっています。2年間の任期中、平井幹事長をはじめとして、理事、各委員会委員の皆さまと力を合わせて学会運営を実りあるものにしていく所存です。代議員の方々からのご協力、ご指導はもとより、会員の皆さまからのご助言、ご提案を賜りますよう心からお願い申し上げます。

2022年9月 吉田 薫

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