TECHNOLOGY 植物バイオテクノロジー

新植物育種技術

現状

 新しい植物育種技術(NPBT: New Plant Breeding Techniques)とは、遺伝子組換えとは異なる、新しく開発されてきた様々な技術の総称です。例えばゲノム編集は、ゲノム中の任意の塩基配列を特異的に切断し、標的遺伝子に対して核酸の欠損、置換、挿入を行うものです。その他、核酸やヒストンの修飾で発現を制御するエピゲノム編集、遺伝子組換え体を台木にした接木、およびR N Aウイルスベクターを用いた改変技術は、遺伝子に新たに外来の核酸を加えることなく植物の形質を変化させます。迅速・効率的な育種を進める場面では、交配雑種の親系統を復元する逆育種のほか、早期開花、TMS循環選抜、アグロ浸漬法、アグロイノキュレーション法、接木など、これらを組み合わせて用いることで強力なツールとなります。
 最近注目されているゲノム編集技術はゲノム中の核酸配列の任意の位置を切断して核酸の欠損、置換、挿入を行うもので、遺伝子組換えとは定義が異なります。ゲノム編集でも異種の生物の核酸が植物内に導入されて残っていれば遺伝子組換え植物になりますが、外来の核酸が残っていなければ、その植物個体は遺伝子組換え植物にはなりません。これは自然界、または従来の品種改良で起こる変化の範囲内であるためで、遺伝子組換え作物あるいは遺伝子組換え食品としての安全性審査は不要となります。特に遺伝子中の一部の核酸の欠失だけを利用したゲノム編集作物は、自然突然変異体を選抜した場合と同じ遺伝的構成になるため、両者は区別がつきません。この場合日本の規制では、情報提供が求められることになります。栽培は農水省、食品は厚労省への情報提供が求められます。食品としての表示については、異種の核酸が残らない場合、厚労省へ情報提供を行なった上で、消費者への表示等情報提供が必要となります。消費者庁では2019年9月にゲノム編集応用食品の表示が定められた時点では、「現段階では食品表示基準の表示の対象外」としている一方で、「今後、流通実態や諸外国の表示制度に関する情報収集も随時行った上で、必要に応じて整理方針の見直しを検討」ともしていますので、関連サイトにある消費者庁をはじめとする各省庁のリンクで最新情報を注視していくことが必要です。
 新植物育種技術は新しい技術であることからこれらの技術を用いて育成された植物や植物由来の食品の安全性評価は国際的に統一されてないものも多く、広く社会に受け入れられるように市民にも充分説明を行い、国際的に統一された使用法が確立されることが重要です。

新植物育種技術の詳細については、日本学術会議の報告をご覧ください。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-h140826.pdf

ゲノム編集植物の具体例

2018年にはじめてアメリカで高オレイン酸含有大豆が商業栽培されました。現在、国内外でゲノム編集作物の研究開発が行われています。

高GABAトマト

http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/brain/sip/sip1_topix_2-1-04.pdf

ソラニンを含まないジャガイモ

https://www.affrc.maff.go.jp/docs/anzenka/attach/pdf/npbtkenkyu-1.pdf

教育用資料

くらしとバイオプラザ21では、教育関係者や科学コミュニケーターが授業・セミナー・講演会 等の講義資料として活用することを目的に作成したパワーポイント資料「私たちのそして世界の 食生活を支える育種技術」(特にゲノム編集技術)を無料で提供しています。詳細については、こちらをご覧ください。

関連サイト

新植物育種技術、特にゲノム編集に関するサイトを紹介します。

<各種団体のサイト>

<行政機関のサイト>